一位(いちい)の名前の由来をご存じでしょうか?

2020/08/19

# 知る・学ぶ

一位は「いちい」と読みますがその意味をご存じでしょうか?
もちろん順位の1番を表すことに使いますが、この他にも実は違う意味があります。
それは「いちい」は木の名前だという事です。今回は一位という木の名前について考えてみましょう。

木の名前になった一位(いちい)

一位の名前の由来はその昔、天皇即位の折にこの木で笏(しゃく)を作らせ、あまりの木目の美しさと見事な出来栄えに感激した事から、当時の最高位の官位を表す「正一位」を授かったと伝えられています。(飛騨水無神社の言い伝えが主)
その時、献上した笏(しゃく)が飛騨にある位山のものであったことから山の名前も位山と名付けた等諸説あるそうです。

霊峰「位山」とは?

位山は飛騨一之宮にある水無神社の奥宮とされ霊山です。頂上部までには巨石群がありパワースポットとなっています。
そして、この山は分水嶺となっており北側は富山県につながり日本海へ、南側は愛知県をぬけ太平洋につながる、まさに日本の中心点のような場所です。
冬の時期、山下部はモンデウス位山スキー場になっており高山市内から15分程度で着く立地の良い場所です。
この山にある一位の原生林は天然記念物に指定されていますが、天皇即位の折にこの位山の一位でつくった笏の皇室への献上が現在でも続いているようです。何か神秘的なものを感じますね。

一位(いちい)の名前の不思議

一位は地方によって呼び方がちがいます。一位一刀彫で有名な飛騨高山では昔は「アララギ」北海道では「オンコ」などと呼ばれています。
漢字では「櫟」と書くのですが、これが面白いポイントで、辞典で調べたときに「クヌギ」「イチイ」と両記載されます。
「一位は一位科一位の針葉樹」「くぬぎはブナ科の落葉樹」まったく違う木なのですが、一文字の漢字にすると櫟となるわけです。
このような事から、いちいは「一位」と表記される事が多くなっているようです。

一位(いちい)の縁起

「いちい」はその名のごとく「一位」ですので、色々なものでとても縁起の良い木とされています。
受験のお守りとして使われたり、表札の最高材として、木彫りの材にも人気の素材です。
ほとんどの人が一位と聞いても木の名前だとわかる方がいませんが、神社などではご神木として伝わっている事も多いようです。

まとめ

一位はその名前を授かる歴史も含めとても高貴な素材だと思います。
なかなか手に入らないため高価で見る機会がありませんが、一位を使った家具や一刀彫、表札など、出会う機会があったときは是非美しい木目を見てください。
時代と共に茶褐色の飴色に変化する特徴も見ることができるかもしれません。