
一位の木ってなに?
2021/01/13
# 知る・学ぶ
一位(いちい)の木とは
学名:[Taxus cuspidata]
一位は緑葉針葉樹で一位科一位です。雌雄株ですので雌株には赤い実がなります。一位の赤い実はほんのり甘くくせがないので子供の頃には食べた記憶がありますが後に聞いたのですが種は毒素があるそうで、、、種をたべなくて良かったと思います。一位の木はあまり見ることがありません。 群生地もあまりなく山の谷のそばにひっそりと生えている木です。 成長が遅いので庭木にも使用されますが30㎝以上の大きな木となると100年以上かかります。
分布図的には日本全土に及びますが木材市にでてくることがほとんどなく今では北海道や飛騨高山、東北地方などでまれに出品されています。そのため価格が高騰し近年さらに貴重な素材となっているようです。
大きな材はめったに手に入りませんので今後ますます価値が上がると思われます。一位を使った主なものは 神主(神官)が使う笏(しゃく)が有名で飛騨高山の伝統工芸、一位一刀彫等もあります。
一位の木はワシントン条約に指定されていた!!
平成16年に以下の内容にて提案され現在指定されています
アジアのイチイ種:附属書Ⅱ新規掲載(米国・中国共同提案)
(1) 現在、附属書Ⅱに掲載されているヒマラヤイチイ(抗ガン剤の原料が抽出される)の保護を強化するため、ヒマラヤイチイとの判別が困難なアジア地域のイチイ種を附属書Ⅱに掲載する提案。
(2) 我が国としては、日本のイチイが国際貿易により絶滅の危機に瀕するような状況にはないこと等から反対したものの、我が国と韓国以外に反対する国はなく、支持する国が多数であったことから、承認された。
(3) 今後、これらの種を輸入する際には、輸出国の輸出許可証が必要となる。また、日本のイチイに関しても、輸出の際には輸出許可証の発出が必要となるが、国内取引には規制はない。
(林野庁木材貿易対策室HPより)
別途商品除外規定が設けられていますので一位を使った製品などは国内海外問わず制限がありません。ワシントン条約記載に関してはあまり知られていませんがそれだけ貴重な木ということがわかります。 建築材や家具材としても年数が数百年後となり植樹ができていないのでますます貴重な素材になっているようです。
一位の仲間
一位の変種というものがあるのはご存じでしょうか?伽羅木(きゃらぼく)といい一位と違って低木で庭木などに使用され幹は直立せずに斜に立ちます。根元から多くの枝が分かれて横に大きく広がるのが特徴です。この名前の由来はインドの伽羅の香りに似ていることからつけられたようです。碁盤や将棋盤につかわれる榧(かや)も一位科になり木目が美しくとても高価な素材として知られています。
まとめ
一位は世界にもありますがアジアの一位は木目が細かくとても美しいのが特徴です。原木を見る機会は少ないですが、庭木としては流通していますので赤い小さな実をつけたクリスマスツリーのような木を見かけた際は一位かもしれませんので調べてみるのも面白いかもしれません。
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# 風習・文化
宝石のような東山円筒分水槽
円筒分水槽と聞いて知っている方はとても少ないのではないでしょうか?
農作地「主に田んぼ」に必要な水源を各地域に平等に分配するために作られたとても理にかなったしくみです。今回は富山県にある東山円筒分水槽についてご紹介します。
まだ観光化していない魅力
富山県魚津市東山地区にある「東山円筒分水槽」はよくある観光地にあるような史跡と違い、農業のために必要だった本来のあるべき姿がそのままに飾らず残っています。
しばらく田んぼや畑が続く田舎の川沿いの道を進んでいくと突然あらわれます。
下から見たときは何かあるなーという程度でその美しさはわかりませんが、施設の上部からの景色は絶景で今まで感じたことのない景色を見ることができます。
円筒水槽のしくみ
水位が高く、水が多かった貝田新地内にある水源を方貝川の底にトンネルを作り、水不足の反対側の東山地区に移動させるために円筒分水槽がつくられました。
東山地区は方貝川より高く、通常では水が上がってこないのですがサイフォンの効果を利用して東山に円筒分水槽を設置することによって実現しています。
東山地区に届いた水は三つの用水に分けられ天神野用水・東山用水・青柳用水につながっていきます。この水によってこれまでの水不足が解消され、農地に多大な潤いをもたらすことになったことは歴史背景を考えてもとても素晴らしい効果があったと感じられます。そして施工後50年たった今もでも何ら支障なく安定した用水に貢献しているということにもこの水槽の役割と価値について考えさせられました。
日本一美しい円筒水槽
この場所を訪れてまず感じるのはその水の美しさです。この美しい水で育った稲や作物はとてもおいしいに違いないと感じました。施設へは東山用水・青柳用水側の田んぼのあぜ道を少し入っていくと丸く大きな筒から水が湧き出ているようなイメージで溢れとても引き付けられます。そして施設の上部にあがることができるようになっているのですが、その場所からの景色は言葉に現れないような美しさです。
どこが計算しつくされた建築物のような配置、そして水の流れ、ずっと見ていたくなるような美しい風景でした。丸い宝石から水があふれ出ているようでした。
まとめ
本来ただの農業施設である円筒分水槽ですが東山円筒分水槽は他の円筒水槽とは比べ物にならない美しさがありました。それは形状的に円筒水槽が高い位置に設計されていることもこの美しさにつながっているように感じます。近年、史跡として注目を浴びるようになっていますが、富山県魚津によった際は是非一度訪れてみる価値がある必見の穴場です!!
東山円筒分水槽 場所 富山県魚津市東山 https://goo.gl/maps/zDwdnbK2sVdeNZrN9
2020-09-22